2020年4月に読んだマンガまとめ(テロール教授・ぎんぎつね・ハカナキ楽園ほか)
僕はどちらかというと、マンガをよく読む方だ。
以前の記事(マンガアプリの更新日をわかりやすく。ちょっとした工夫をご紹介。)でも触れたとおり、最近はマンガアプリの無料配信で読むことも多いが、依然として月何冊かは紙の単行本も買って読む。それらの合計を月平均にすると、おそらく20冊くらいになる(年間250冊ほどになる計算)。
ということで、INVIVOの毎月の記事のひとつとして「今月読んだマンガ」を公開していきたいと思う。個人的なおすすめ度を元に、ランキング形式で簡単に紹介していく。
4月に読んだマンガは29冊だった。
1位 テロール教授の怪しい授業(2)
講談社の週刊青年漫画誌「モーニング」にて連載中の原作:カルロ・ゼン、漫画:石田点による作品『テロール教授の怪しい授業』の第2巻。
作品全体のあらすじは以下の通り。
泣く子も黙るローレンツ・ゼミには、今年もそうとは知らない学生たちが集まっている。
「あなたたちはテロリスト予備軍です。」
予想だにしない一言に愕然とする生徒たち。脱落=テロリスト認定。恐ろしすぎる授業が始まる——。
そもそもテロリズムとは何か? 日常に潜むテロの根っことは?
今までメディアで語られてきたテロ論は全部ウソ。テロ教授が教える、知るのは怖い、知らないのはもっと怖い「テロとカルト」の真実。
2017年にアニメ化もされた小説『幼女戦記』で有名なカルロ・ゼンさんが原作を務める。
ご存じない方に簡潔に紹介しておくと、『幼女戦記』は、第一次~第二次世界大戦をモチーフにした欧州のような架空の世界を舞台に、幼女に転生した現代のサラリーマンが軍人として戦いに赴く軍記小説だ(題に『幼女』と付くが、いわゆる萌え要素は皆無といっていい)。
『テロール教授の怪しい授業』では、『幼女戦記』でもそのエッセンスが十二分に感じられた、原作者の共産趣味や国産関係論・歴史への造詣がいかんなく発揮されている。
主人公(?)であるテロール教授がゼミを通して、学生たちに思考を促し、「テロとカルト」について教鞭をふるうという形式をとっているため、一見かたそうな話題もすんなりと理解できる。
「テロとカルト」をテーマにしてはいるものの、その講義内容自体は論理的思考や人間の心理的な傾向(認知バイアスなど)を扱っており、このマンガから得た知識を日常生活やビジネスに転用可能な点が一番の魅力だろう。
学生たちが「東京五輪でテロを成功させる方法をプレゼンしてください。」という課題に奮闘する姿が描かれる第2巻では、「テロリズムにおける成功とは?」という命題を通して「PR(Public Relation=公との関係性)/ 戦略的コミュニケーションに必要なもの」が語られている。
特攻隊と自爆テロの違いとは?
テロリストはどうして勝てない戦いに挑むのか?
ヒトラー・カストロ・ゲバラはどのようにして主流派の座を手にしたのか?
ドイツでは何故、タバコ会社のロビー活動が成功したのか?
上記のような内容に少しでも興味がある方は、ぜひ『テロール教授の怪しい授業』の2巻を読んでみてほしい。
『テロール教授の怪しい授業』第1話の試し読みはこちら。
こちらは、作中で触れられている書籍。
2位 ぎんぎつね(1〜14)
集英社の月刊青年漫画誌「ウルトラジャンプ」で2009年から連載中の『ぎんぎつね』(作・落合さより)。
2017年から長期休載となっており、2020年2月に連載を再開。4月17日に発売された第14巻は、実に3年ぶりの新刊となった。
作品全体のあらすじは以下の通り。
ここはとある町の小さな稲荷神社。
主人公まことは十五代目にあたる跡取りの女の子。現在の神主はお父さんですが、神さまの使いである“神使”の狐・銀太郎の姿が見えるのは、正式な跡取りのまことだけなのです。
ちょっとだけ未来が見えたり、失くしたものを探せたりする不思議な能力を持つ銀太郎ですが、やる気はないし口も悪いです。
でも、まこととは気があうのか、まあ仲良くやってるようです。そんな稲荷神社を舞台に、いろんな人たちがふれあう物語。
学生の頃に1巻は読んだ記憶がおぼろげにはあるものの、その後を読めていなかった作品。妻が全巻持っていたので、久々の新刊発売ということで既刊全巻を読破した。
作品全体に漂うほんわかとした雰囲気に心癒される反面、登場人物たちの境遇は思いのほかヘビーで、「ままならない現実の中で、ひとはどう生きるか」あるいは「ひととの関わりを経て、どう変わっていくか」といったことが丁寧に描かれている。
神社のあり方・神道の考え方を扱ってはいるものの、決して「神は存在する」ということを前提としている訳では(今のところ)なく、神の存在を疑う姿勢も肯定的に描かれているのが興味深い。
私は神職にはむく・むかないはないと思っている
だが 神職には確かに二通りいる
神を信じている者と……信じていない者(第6巻)
……どうして宮司さんは 神使も神様も視えないのに信じられるのですか?(第9巻)
木も杜も…社も…古くからある全て……何も教えないし 伝えない 俺達はただ黙って ただ見ているだけだ(第10巻)
ま ホントに神様がいるんならさ
今すぐ親父を殺してほしいね(第11巻)
神使という神聖な存在が主要なキャラクターとして登場していながらも、「神の存在を疑うこと(ひと)」に違和感が生じないバランスを作品が保っているのは、自らが存在する意味に疑問を持つ神使が登場したり、「神」自体は明確な姿で描かれない(登場しない)からかもしれない。
まぁ、そういった小難しいテーマを抜きにしても、神使とされる動物が(狐・亀・猿・兎…という風に)次々と登場するのを見るだけでも面白いし、思春期まっただ中の主人公たちの青春模様を眺めるのも楽しい。また、巻末のおまけ漫画で、神社や神道の豆知識を知ることができるのも魅力のひとつだ。
未読の方は、ぜひ一度読んでみてほしい。
等身大の聖職者を描いた作品といえば、こちらもおすすめ。
3位 ハカナキ楽園(1〜3)
新人・若手マンガ家のオリジナル作品を配信するマンガアプリ「GANMA!」にて隔週で連載中の『ハカナキ楽園』(作・たかちこり)。
GANMA!では全話無料で読むことができるほか、AmazonではKindle版が3巻まで発売されている(2020年4月現在)。
作品全体のあらすじは以下の通り。
ワイルドマン ― それは人であり人でないもの。
牧野柊が異世界で目を覚ました場所は ワイルドマンの解体現場だった。ワイルドマンの少女フィオに出会ったことで 柊の運命は変わる・・・!?
「人類の進化の残滓」とされるワイルドマンが存在する世界に迷い込んだ主人公の物語を描く。1~2位とは違い、こちらは純粋にエンタメ作品として楽しんだ。
GANMA!は結構オススメ
あと、ここでひとつ触れておきたいのは、個人的に「GANMA!は結構オススメ」ということである。
実は、サービス開始当初(2014年頃)からつい最近までは、GANMA!連載作品に対して「(新人・若手の作家陣なので)ストーリーもイラストも、他アプリのオリジナル作品ほどはクオリティが高くないなぁ…」という印象を持っていて、長いこと『リセット・ゲーム』(作・吉開かんじ)という作品を読むためだけにアプリを起動していた。
だが、昨年『リセット・ゲーム』の第1章が完結し、第2章が開幕するまでの間を繋ぐ作品を探そうと連載作品一覧を改めてチェックしたとき、その認識を改めることになった。
また別の場でも紹介しようと思うが、そこには『メメントメモリ』(作・紅ki)をはじめとして、他アプリのオリジナル作品と何ら遜色のないクオリティの作品が並んでいたのだ。
しかもGANMA!では、連載中のオリジナル作品は全話無料でいつでも読み返すことができる。2018年頃に連載を開始している上記の作品(『リセット・ゲーム』のみ2014年に連載開始)であれば、40話以上を一気読みできる計算だ。
ひとまず、上記のサムネイル画像で作品に興味を持った方は、アプリかブラウザでGANMA!を開いてみてほしい。
「GANMA!」をダウンロードするならこちら。
『メメントメモリ』をブラウザで読むならこちら。
4位 アオアシ(20)
小学館の週刊青年漫画誌「週刊スピリッツ」で連載中のサッカーマンガ『アオアシ』(作・小林有吾)は、最も新刊を楽しみにしているマンガのひとつだ。
作品全体のあらすじは以下の通り。
愛媛に暮らす中学三年生・青井葦人(あおいアシト)は、ある日、Jリーグのユースチーム監督・福田達也(ふくだたつや)と出会う。粗削りながら、無限の可能性を秘めたアシトを、福田は自チームのセレクションに誘い!?
日本のサッカーを変えることになる少年の運命は、ここから、急速に回り始める―――!!
この作品の一番の魅力はリアリティにある。もう少しかみ砕くならば「勝つロジック/成長するロジックがしっかりしている(と感じられる)点」が非常に魅力的なのだ。
部活動ではなくユースチームを舞台としている点や、主人公のポジションがFWではなくDF(サイドバック)である点なども目新しい。
最新刊である第20集では、主人公・アシトの挫折と再生が描かれる。
アシトにとっても、チームにとっても、大きな転換点を迎えただけに、今後の展開がまた楽しみになってきた。
5位 BEASTARS(18)
秋田書店の週刊少年漫画誌「週刊少年チャンピオン」で連載中の『BEASTARS』(作・板垣巴留)の第18巻。毎年つくっている「個人的ベストコミック」では2017年の1位に選んでいて、『アオアシ』同様に新刊を楽しみにしている作品のひとつ。
2018年のマンガ大賞にも選ばれ、2019年にはアニメ化もされたので、ご存じの方も多い作品だろう。
作品全体のあらすじは以下の通り。
肉食獣と草食獣が共存する世界。
そこには、希望も恋も不安もいっぱいあるんだ。
チェリートン学園の演劇部員レゴシは、狼なのにとっても繊細。そんな彼が多くの動物たちと青春していく動物群像劇が始まる!!
上記の文章だけ見ると和やかなイメージを受けるが、第11巻までの物語の核となっているのは「演劇部員の食殺(肉食獣に食べられる)事件」であり、「肉食獣と草食獣の共存」というテーマは、存外ヘビーなものとして描かれている。
どれくらいヘビーかというと、最新刊で登場した「イマジナリーキメラ」という概念(作者の父親の作品である『刃牙』シリーズを彷彿とさせる)を見て、「あ、そういえば、この作品って少年マンガだったわ」と(第18巻にして)改めて感じたほどだ。
この巻では、タイトルに込められた意味も明らかになった。今後はそこに向かって物語が加速していきそうなので、引き続き、次巻を楽しみに待ちたい。
6位以下の作品
6位以下の作品は、ささっとご紹介することにする。
6位 左ききのエレン(12)
集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+」で連載中のクリエイター群像劇。第12巻はエレン側の物語がメインとなっており、バンクシーとのゲームを通して、エレンたちの絆が描かれている。そして、次巻からはまた光一側の物語だ。
僕は持たざる者側である光一の物語が好きなので、今現在、最新話を楽しみにアプリを毎週起動している。
7位 SHIORI EXPERIENCE(12)
スクウェア・エニックスの月刊青年漫画誌「月刊ビッグガンガン」で連載中のバンドもの。僕はマンガアプリ「マンガUP!」で購読しているので、2巻遅れ(約1年遅れ)で第12巻を読了。
次巻が山場になっているので、こちらも毎週の更新が楽しみだ。
現在は14巻まで発売中。
『SHIORI EXPERIENCE』第1話の試し読みはこちら。
8位 進撃の巨人(31)
講談社の月刊少年漫画誌「別冊少年マガジン」にて連載中の、巨人と人類の戦いを描く、言わずと知れたダークファンタジー。
最新刊となる第31巻では、第2話で主人公・エレンが発した「駆逐」という言葉が異なる意味でリフレインされ、クライマックスの幕が開けた。今後も目が離せない。
9位 空挺ドラゴンズ(7〜8)
講談社の月刊青年漫画誌「good!アフタヌーン」にて連載中の「ファンタジー×グルメ」マンガ。こちらは先月の読み残しの消化枠。
10位 HANDS(1)
集英社の週刊少年漫画誌「週刊ヤングジャンプ」で連載中のSF逃避行劇。作者にとっては、これが連載デビュー作となる。
僕はWebマンガサイト「となりのヤングジャンプ」にて無料公開されていたものを読んだ。突っ込みどころは結構あるが、「目に見えないが自在に操れる手」というギミックが今後どう活用されていくのかが楽しみだ。
11位以下の作品
以下は、講談社のマンガアプリ「マガポケ」にて「週刊少年マガジン」の定期購読で読んでいる作品たち。いずれもメインで読んでいる作品ではないので、細かいコメントは省く。
五等分の花嫁(14) ※完結
ダイヤのA act2(21)
なれの果ての僕ら(1)
追いかけているコミックのうち、5月発売のものは15冊ほど。
5月はゴールデンウィークもあるので、気になるリストや積読の消化を進めたい。
ではでは。
「外出自粛」が生んだエンタメ。「オンライン会話劇」あるいは「Zoom演劇」という潮流。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本国内では不要不急の外出自粛(海外では外出禁止)が呼びかけられている。そうした状況下で、YouTubeをはじめとする動画プラットフォームにて、クリエイターが自宅から発信し、ユーザーが自宅で楽しめる映像コンテンツが公開される動きが加速している。
今回の記事では、その中でも「演劇」の分野での動きを紹介する。
「ウィズコロナの時代」という呼び名も聞こえてくる通り、このような状況が、いつまで続くのかは不透明だ。
そんな中、これから紹介するような動きは、「アフターコロナの時代」が来たとしても残り続けるかどうかはまだわからない。ただ、これまでには存在しなかった新たな潮流であることは確かなので、ひとつの記録として残しておきたい。
なお、他の分野での動きも別の記事でまとめたいと思う。
オンライン会話劇という新たな形式との出会い
そもそも今回この記事を書こうと思ったのは、4月17日(金)から4月19日(日)の3回に渡ってYouTube Liveで上演された『未開の議場 -オンライン版-』を観たからだ。きっかけは、RSSリーダーで見かけたステージナタリーの記事。「オンラインで観劇できる」ということに興味を惹かれ、観てみることにした。
なお、千秋楽のアーカイブは以下のURLで5月20日(水)まで公開されている。
(2020/4/23 14:15追記)
『未開の議場 -オンライン版-』プロデューサーの大石晟雄さんよりご指摘いただき、劇団名について修正を行ないました。「オンライン版」はカムヰヤッセンの公演ではなく、キャスト陣の集団名も存在しないとのことでした。お詫びして訂正いたします。
『未開の議場 オンライン版』(脚本・演出:北川大輔/カムヰヤッセン)
上演時間は120分程度。
あらすじは以下の通り。
とある街のとある商店街が主催する祭の実行委員会は、いま流行っている病気のため、オンラインで会議を行うことになった。
進行を確認するための和気藹々とした会議となるはずが、不測の事態の発生によって思わぬ方向へすすんでいく。
きたるべき移民時代・外国人労働力の受け入れが現実味を帯びる昨今に、日本の抱える外国人との問題を描き出す二時間一幕の会議劇。
調べたところ、『未開の議場』は2014年初演の舞台。
脚本・演出の北川大輔さん曰く「あ、これなら使えるんじゃないか」ということで、WEB会議(Zoom)上での物語に設定を変えて上演する運びになったとのこと。元々は劇団「カムヰヤッセン」の舞台だが、「オンライン版」については、今回の企画に賛同する様々な劇団の俳優陣が集結した特別な公演となっている。
観劇した結果、形式自体の新鮮さはもちろん、物語も非常に面白かった。
「Zoom演劇は演劇といえるか」みたいな議論があることは知っているが、そのあたりのことは脇に置いておいて、単純に面白いと感じたのだ。
会社の会議とはまた違う、
価値観がバラバラな人間同士の話し合い。人と人との距離感。
コミュニケーション。
偏見。
他者と共存するということ。
わかりあえないこと、それをどうとらえるか。
そんなキーワードが、観劇後もぐるぐる頭をめぐる。
こうしたテーマに関心がある方は、ぜひ一度観てみてほしい。
最後まで多様な意見が飛び交い、ありがちな大団円を迎えることはない。でも、それがリアルだった。
ただ、一見わかりやすいオチ(あるべき姿)になっていないようで、将来的にそこに繋がりそうな光明が見える結末となっている。
詳しい感想は別の記事にするので、本作への言及は一旦ここまでにする。
「オンライン会話劇/Zoom演劇」ならではの魅力
① リアルタイムで繰り広げられる演劇を自宅から観られる
これまでも自宅から、テレビやYouTubeなどで過去の演劇を観ることはできたが、それはあくまで「その劇場にいた人に向けたお芝居」を傍観者として後から観る、というものだった。
その一方で生配信で上演される「オンライン会話劇/Zoom演劇」は、同じ時間を共有しているからこそ、「自分たちに向けて、リアルタイムで物語が紡がれている」という体験をすることができる。
また、オンライン会話劇という設定上、時間的な切れ目(場面変更)がないことも、「リアルタイムで起きていることを実際に観ている」という感覚を強化している。
これはシンプルにこれまでにない体験で、今後需要が増えていく「自宅でのエンタメ」の中で、ひとつの地位を確立する可能性を感じた。
② 登場人物の表情や雰囲気をしっかり観られる。
画面のフォーマットが「WEB会議ツールの通話画面」に固定されるため、必然的に登場人物全員の顔がアップで映し出される。
つまり、従来の演劇では(特に舞台から遠い席からでは)認識するのが難しかった登場人物の表情の微細な変化をしっかりと観ることができるのだ。しかも、全員の画面が平等に映し出されるので、従来の演劇なら視界に入らなかった登場人物(映画ならば画角に入らない登場人物、といえばわかりやすいかもしれない)の表情に目が向くこともあったりする。
そうした点で、観客がキャッチできる情報量が増え、物語に奥行きが増すのも「オンライン会話劇/Zoom演劇」という形式ならではの魅力だと感じた。
「Zoom演劇」の先駆者たち
この「オンライン会話劇」または「Zoom演劇」というコンテンツは、今後も増えていくだろう。
というのも、『未開の議場 -オンライン版-』のほかにも既に上演、告知を行なっている劇団が複数あるからだ。
以下に、僕が観測しているものを列挙しておく。
連作短編通話劇シリーズ『窓辺』(劇団ロロ)
離れた土地で暮らす人たちの、ある一晩のビデオ電話を切り取った連作短編通話劇。第1話は、4/19(日),4/22(水),4/25(土)に計6回、YouTube Live上で上演される。
詳しくはこちら / 配信ページはこちら
おそらく最速。"Zoom演劇"に特化した「劇団テレワーク」
コンテンツスタジオ「CHOCOLATE Inc.」は4月5日、企画から稽古・公演まで全てをオンライン上のZoomで行なう「劇団テレワーク」を旗揚げした。
リアルすぎて怖すぎて、本当だと信じてしまう人がかなりいたので、再投稿です。
— 栗林 和明 (@kri1226) April 4, 2020
これは、
「もしZoomに途中で知らない人が入ってきたら...?」
という設定の即興演劇。台本も事前打ち合わせも一切なし。
役者さんの力が凄まじいし、制限があるからこそできる新しい表現がまだまだありそう#Zoom演劇 pic.twitter.com/090O9nyXed
ツイートの動画は、ワークショップでの作品とのこと。
3月末に「テレワーク演劇ができそうなので考えてみる会議」が行なわれ、4/2(木)にワークショップ型の公開オーディションを開催。4/5(日)に第0回公演、4/19(日)に第1回公演を上演。並行して即興公演も3回こなしているというから、いま一番「Zoom演劇」の経験値が高く、試行錯誤を重ねているのは、この劇団かもしれない。配信媒体はYouTube Live。
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もうひとつのフルリモート劇団「劇団ノーミーツ」
"NO密で濃密なひとときを"をテーマにしたフルリモート劇団「劇団ノーミーツ」も、4月9日(木)に始動した。
ZOOM飲み会してたら怪奇現象起きた… #劇団ノーミーツ#ZOOM演劇 #StayHome pic.twitter.com/twrzGCzQws
— 劇団ノーミーツ (@gekidan_nomeets) April 9, 2020
こちらは今のところ、生ではなく事前に撮影した3分未満の映像を公開する形式を取っているようだ。配信媒体はTwitterまたはYouTube。
詳しくはこちら / 配信ページはこちら
『のぞきみカフェ』YouTube支店(きださおり/SCRAP)
リアル脱出ゲームを手掛ける株式会社SCRAPのきださおりさん(元・東京ミステリーサーカス総支配人)が発表した新たな企画。
元となっているのは、2019年の表参道のカフェでのイベントで、店内で居合わせた「知らない誰か(登場人物)」の世界を"のぞきみ"できる、という試みだ。
日常生活と同様、カフェで隣の席から断片的に聞こえてくる会話から、その人が抱える悩みを推測し、場合によっては(おせっかいにも)口を出したりすることもできる…そんなイベントだったようで、今回はそれを「Zoomでの会話を"のぞきみ"する」という形式に変更したものだ。配信媒体はYouTube Live。
ゲーム業界にいる身としては、ARG(代替現実ゲーム)的な観点でも興味深いし、先に触れた「Zoom演劇の演劇性」みたいな問題へのひとつの補助線になるのではないか、という観点でも注目している。
詳しくはこちら
『あの子と旅行行きたくない。』(月刊「根本宗子」)
根本宗子さん主宰の劇団による2014年の"バー公演"が、"リモート芝居"としてリメイク。全編ワンカットで収録された映像コンテンツとなっており、こちらは動画販売サイト「filmuy」にて、有料(税込1,000円)のレンタル方式で提供されている。
詳しくはこちら / 購入ページはこちら
(2020/4/23 8:00追記)
Twitter上で新たに見かけたものがあったので追記する。
以下の2劇団は、Zoom上で観劇する形式を取っているようだ。
【追記】リモート劇団「劇団Zooooom!」
旗揚げ公演は4月15日(水)。1st公演を4月23日(木)、2nd公演を4月24日(金)に控えており、Peatixなどで有料チケットを販売している。
詳しくはこちら
【追記】Zoom劇場「オンラインノミ」
お笑い芸人の大和一孝さん(スパローズ)が企画・プロデュースする生演劇。4月26日(日)に公演を控えており、有料チケットを販売中。
詳しくはこちら
(2020/4/25 19:00追記)
テレビや映画でお馴染みの俳優陣による劇団が結成されたので追記する。
オーバーグラウンドからも上がった狼煙
4月24日(金)、俳優の賀来賢人さんが自身のTwitterを更新し、劇団を結成し、オンラインで公演を行なうことを発表した。
『肌の記録』(劇団年一 / 賀来賢人ほか)
劇団に名を連ねる俳優は、柄本時生さん、岡田将生さん、落合モトキさん、賀来賢人さん(五十音順)の四名。脚本・演出は、この春に放映されたテレビドラマ『死にたい夜にかぎって』で賀来さんとタッグを組んだ加藤拓也さん。俳優陣はいずれも1989年~1990年生まれの(僕にとっても)同世代だ。
配信時期は5月上旬で、現在は会議と稽古を重ねているといい、「オールリモートでビデオ通話を使った映像のような演劇のような、新しい作品を作」るとしている。あらすじは以下の通り。
大体今から100年くらいあと、ある年から教育や仕事はオールリモートに移行、外出は基本禁止、仕事が無い人はしなくてもよく、人との関わり方は変わってしまい、子供達は友達とオンライン以外で会った事が無い世の中になりました。
人と触れ合うような文化、娯楽、仕事はすっかり滅びてしまって、そんな時代に産まれた幼馴染みの、ときお、けんと、まさき、もときは暇で暇で仕方がないです。
『生きているだけで楽しくて幸せ』なんてつまらないと思う4人は暇で仕方ない生きるだけの日々を楽しくする為に、ぼんやり昔の文化を想像と勘で復活させてみたりしちゃったりします。
ちなみに、脚本・演出の加藤さんは自身が代表をつとめる「劇団た組」でもインターネット公演を行なっている。
『要、不急、無意味(フィクション)』(劇団た組)
こちらは4月18日(土)~19日(日)に、Skypeのグループ通話機能を使用して上演された。各回先着40名の事前予約制で、予約した観客にはSkype通話用のリンクURLがメールにて共有される方式となっていた。
詳しくはこちら
「Zoom演劇」のゆくえ。課題や議論など。
これは外出自粛の状況下における、他の分野でのオンライン化においても同じことが言えるが、生のエンタメも編集のエンタメも、どちらも制作環境の変化を余儀なくされていて、提供方法および収益化の方法もまた別の形を取らざるをえなくなっている。
演劇性に関する議論
演劇においては、制作環境=提供方法であり、舞台上の役者と観客が「生」で「同じ空間」にいることが前提とされている。それにより、先に触れた通り、「Zoom演劇は演劇なのか」といった議論が生まれているのだ。
たとえば、最後に紹介した『あの子と旅行行きたくない。』の根本宗子さんは以下のように述べている。
やはり演劇はお客さんと同じ空間で生で観てもらうもの、というかそれだけが演劇の決まり事で、あとはなんでもありなのが「演劇」だと思って私は作品を作ってきたので、今その唯一の決まりが実現できない状況で…(中略)…これは演劇?映画?ドラマ?なに?って聞かれると、私の中で今までのカテゴリーに入らないものなのです。
また、劇団扉座主宰の横内謙介さんはブログにこう記している。
このネット社会、違う表現手段もあるだろう。そこに変換してゆけと言う意見は正しいのかもしれない。でも、物心ついて以来、それを愛して40年やって来た。ネット演劇の可能性は次の世代の人たちに託したい。
正直なところ、僕は「演劇の何たるか」を語れるほど演劇を観てきていないので、この議論に参加するような立場にはない。
ただ、上記のような演劇人たちのメッセージを読んでいると、演劇を生業とする人たちの中でも意見は分かれているし、時代の変化に合わせて、演劇の形も変わっていくこともあるのだろうなと思う。
この記事で紹介した中でいうと、劇団テレワークが挑戦している即興公演では「YouTubeのコメント欄が役者への演出指示につながる」という試みが行なわれていたり、『のぞきみカフェ』でも観客が登場人物にアクションを起こせる余地が設けられている。そうした工夫によって「新しい時代の演劇性」みたいなものが生み出されていくなら、僕はそちらに注目していきたい。
というか、多くのひとは演劇評論家でも何でもないのだから、自分が楽しいと思えるなら、何も考えずに楽しめばいいと思っている。
そこには、今まで存在しなかった、新たなエンタメが広がっている。それだけなのだ。
制作環境=自宅であることの制約
こちらには、一般の観客目線でも課題がある。
外出自粛の状況下では、「オンライン会話劇/Zoom演劇」はおのずと「自宅と自宅を繋ぐオンライン会話/会議」というシチュエーションに限られる。背景の造形物を工夫することで「オフィス」にしたりすることはできるだろうが、どれだけ拡張できたとしても「屋内」というシチュエーションを脱するのは難しいだろう。
バーチャルな背景を駆使して屋外に見立てることもできるだろうが、それはそれで「屋外から自撮りしている人と長時間オンラインで会話する」というシチュエーションに違和感が生じる。
以上のことから、今はまだ問題ないだろうが、もう少しするとシチュエーションのマンネリ化が起こることが予想される。
(とはいえ、長い目で見れば「オンライン会話劇」というフォーマット自体は、今後もワンシチュエーションものの一つのジャンルとして確立されるんじゃなかろうかとも思っている)
もし画面構成を自由にいじれるようになれば(画面を見る登場人物の顔が平等に映し出される会議画面ではなくなるなら)、複数のカメラの映像がスイッチングされながらお茶の間に届けられていた「生放送のドラマやコント」のようなやり方も出てくるかもしれない。
ただその場合、カメラが映る範囲を「自宅ではないどこかにいる自分」に見せる作業が俳優一人ひとりに必要なるので、美術・衣装・メイクなどの部分で限界がきそうな気がしている。あと、対面していないのに対面しているテイで演技をする必要がある、という点でも俳優の技量が求められそうだ。
マネタイズ面での課題
この記事で紹介した作品の多くは、無料で配信・公開されている。
観る側にとっては、無料で上質なコンテンツに触れられるのは喜ばしいことだし、作る側にとっても「ファン獲得の間口が広がる」という利点もあるが、当然、作り手たちが生活していくためには、収益が上がり、対価を得られる仕組みが必要となってくる。
とはいえ、そもそもオンラインで提供するコンテンツは、ECとの相性がとてもよいので、僕はこの課題はすぐに解決するのではないかと思っている。
たとえば、最初に紹介した『未開の議場 オンライン版』も無料で配信・公開されてはいるものの、投げ銭サービスでのカンパを呼び掛けていたり、台本や設定資料をダウンロード販売する物販コーナーを設けている(僕も設定資料を購入した)。ほかには、映像作品として動画を販売したり、配信媒体をZoomに限定することで、オンラインチケットを視聴権利(ID/パスワード)と紐づけて販売している劇団もあった。
「無料公開&投げ銭」のあり方でいうと、劇団側が推奨価格(従来のチケット価格)を設定して、開演時にアナウンスし、その場で観客に決済してもらうような形を標準にしてしまってもよいのでは、と思う。
劇団のファンは推奨価格を最低ラインとして支払うだろうし、一見さんも終演後に価値を感じたなら、チケット代を後払いするような感覚で支払ってくれるだろう(楽観的すぎるかもしれないが)。
僕自身は今回「これまで知らなかった劇団の作品を無料で観て、ファンになり、お金も支払う」という体験をした。
そして、いつか世の中が落ち着いたら、劇場に行きたいとも思っている。
これも今まではなかったひとつの演劇と観客のあり方なのではないだろうか。
そんなことを考えて、今回の記事を終わりたいと思う。
執筆予定の記事
>>「わかりあえないことから。オンライン会話劇「未開の議場」で感じたこと。」(作成中)
>>「「外出自粛」が生んだエンタメ② 音楽・映画/ドラマ・バラエティ番組」(作成中)
ではでは。
マンガアプリの更新日をわかりやすく。ちょっとした工夫をご紹介。
昨年くらいから、マンガアプリを本格的に利用している。
マンガの電子化はどんどん進んでいて、新旧コミックの「1話単位の無料配信」、「週刊誌の定期購読」など、様々なマンガをアプリで購読できる。
ただ、このマンガアプリ、数が増えるほど困ったことが発生する。
読んでるマンガが、どのアプリで何曜日に更新されるかわからない…!
もちろん、アプリの通知機能をONにするという手もあるのだが、いかんせん関係ない通知でバッチがついてしまう。
通知をONにすると、読んでいるマンガの更新通知だけでなく、キャンペーンや興味のないマンガの配信開始の通知まで来てしまうので、汚部屋ならぬ汚iPhone(おいふぉん)製造機になりかねない。
僕も最初は通知ONの設定で運用していたのだが、毎日のように割とどうでもいい通知でバッチがつくアプリ(マンガUPだったかな)もあって辟易していた。
そこで編み出したのが、この記事でご紹介する「通知をOFFにして、曜日確認用のアイコンをつくる」という方法だ。
- まずは通知をOFFにする(設定アプリ>通知)
- 曜日確認用のアイコンをつくる
- Safariの「ホーム画面に追加」でアイコンを追加する
- この方法をしばらく運用してみた感想
- 【追記】やる気ver.のアイコン素材を配布!
- 【最後に】僕が使っているマンガアプリ
まずは通知をOFFにする(設定アプリ>通知)
設定アプリを開いて「通知」をタップすると、インストール済みのアプリ一覧から「通知スタイル」を設定することができる。
僕の設定は以下のような形だ。
- 通知(そのものの)許可 :必要なアプリだけON (OFFの場合、2~4はナシ)
- 通知(スタイル) :ON (ふとしたときに目に入るくらいはOK)
- サウンド(&バイブ) :うるさいのでOFF
- バッジ :どうでもいい通知を防ぐためにOFF
正直「2. 通知(スタイル)」さえ不要ならば、すべてのマンガアプリで「1. 通知(そのものの)許可」をOFFにできるのだが、アプリによっては自分が気になっているマンガの配信開始通知が来たりするので、対象を絞ってONにしている。
ちなみに、マンガアプリに限らず、全アプリでこの手の通知の取捨選択を行なえば、iPhoneの見た目もすっきりして、無駄なアプリ起動の時間もなくなると思う。
曜日確認用のアイコンをつくる
左側が誰でもつくれる「お手軽ver.」で、右側がデザインスキルがある方が自作した「やる気ver.」だ。
「やる気ver.」は、正方形のアイコン画像をPhotoshopなりで作成する必要があるので、今回は「お手軽ver.」の作り方を説明していく。
「お手軽ver.」では、iPhoneのスクリーンショット機能と写真アプリのトリミング機能が使えれば、アイコンのデザインがつくれる。
STEP.1
テキスト入力が可能なWEBサイト/アプリで曜日を入力
※図の例では「Google 翻訳」を使用STEP.2
最大まで拡大してスクリーンショットを撮影STEP.3
カメラロールに移動し、右上の「編集」をタップSTEP.4
下部メニューのトリミングアイコンをタップ
→ 右上の縦横比選択のアイコンをタップ
→ 下部の「スクエア」を選択し、好きな大きさに調整
→ 右下のチェックアイコン(✓)をタップして完了
これで、曜日確認用の正方形アイコン画像が作成できる。
STEP.1のテキスト入力はメモアプリでも何でもOK。
左側の間隔が確保できるように、いくつかスペースを打ち込んでおくとよい。
もしあなたにデザインスキルがあるなら「やる気ver.」のように、元となるアプリにデザインを似せた曜日確認用のアイコン画像を作成してもよい(僕は750px*750pxくらいで作成した)。
Safariの「ホーム画面に追加」でアイコンを追加する
メインの作業は『適当なWEBサイトを選んで「ホーム画面に追加」でアイコンをつくる』という内容になる。
ただ、通常通りにこの作業を行なうと、WEBサイト側が設定しているデザインのアイコンが生成されてしまう。
通常の「ホーム画面に追加」の挙動
STEP.1
任意のWEBサイトを開き、
下部メニューの共有ボタン(四角&矢印のマーク)をタップSTEP.2
「ホーム画面に追加」を選択STEP.3
右上の「追加」を選択
※青枠部分でアイコンの名前を変更することも可能STEP.4
ホーム画面にアイコン(WEBサイトへのブックマーク)が追加される
GoogleのTOPページを使用した図の例では、Google側で設定されたアルファベットの「G」のアイコンが生成されている。
ちなみにSTEP.4の画像では、ほかにディズニー公式サイトと週刊少年ジャンプの公式サイトも試してみた(それぞれのロゴのアイコンになっている)。
自分で作成したアイコンをホーム画面に追加する
上述の通り、通常は自分の好きなデザインのアイコンを追加することはできないが、「キラキュー・テック」さんが以下のページで任意のアイコンを使用できるような仕組みを公開してくれている。
注意点としては、以下で紹介する作業はアイコンを追加するiPhone上のブラウザで行なう必要がある(当然といえば当然なのだが)。
STEP.1
上記ページにアクセスし、
「リンク先アドレス」の欄に好きなページのURLを入力
※上の図ではGoogleのTOPページを使用STEP.2
「ファイルを選択」ボタンをクリックし、
出てきたメニューの中から「フォトライブラリ」を選択STEP.3
(1)で作成したアイコン画像を選択し、右上の「完了」をタップSTEP.4
「ファイルを選択」ボタンの右に、選択した画像が
表示されていることを確認したら、「生成」ボタンをタップ
STEP.5
"このページを「ホーム画面に追加」してください"という
ポップアップが表示されるので、「閉じる」をタップSTEP.2
白いページに遷移したら、下部メニューの共有ボタンをタップ
→「ホーム画面に追加」をタップ ※(0)と同じ作業
STEP.3
青枠部分に好きなアイコンの名前を入力し、右上の「追加」をタップSTEP.4
ホーム画面に自分が作ったデザインのアイコンが追加される
これで、「『マガポケ』では水曜に好きなマンガが更新される」ことを示すアイコンをホーム画面に追加することができた。
あとは、これを繰り返してアイコンを追加していくだけだ。
この方法をしばらく運用してみた感想
結論から言うと、とても満足している。
「あれ…どのアプリが今日更新だっけな?」と思っても、すっとスワイプすればすぐに確認することができる。
最初は「お手軽ver.」で十分満足していたのだが、フォント好きの妻に「もう少しフォントとかもこだわったら?」と言われ、「ぐぬぬ…」とPhotoshopを駆使して元のアプリアイコンに似せた「やる気ver.」を作った。(Photoshopがなくても、PowerPointなどでも十分それっぽいアイコンは作れると思う)
見た目にそんなにこだわりがない人なら、「お手軽ver.」はかなり簡単に作れると思うので、気になった方はぜひ試してみてほしい。
(2020/4/27 21:00追記)
やる気ver.のアイコン素材配布について追記しました。
【追記】やる気ver.のアイコン素材を配布!
曜日だけ自分で追加してもらえれば完成するアイコン素材を配布することにした。
キャラクターやロゴが入っているものは配布できないので、そういったもものは省略し、それ以外の部分を目コピで作成したものだ。曜日確認用のアイコンを自作したい人の助けになればうれしい。
アイコン素材は以下のリンクからダウンロード可能。
【A】マンガBANG!用 /【B】マンガDAYS用 /【C】少年ジャンプ+用 /【D】ヤンジャン!用 /【E】LINE マンガ用 /【F】マガポケ用 /【G】マンガワン用別 /【H】マンガPark用 /【I】ピッコマ用 /【J】サンデーうぇぶり用 /【K】マンガUP!用 /【L】白背景(GANMA!・マンガMee・ゼブラック用)/【M】黄背景(マンガドア・pixivコミック用)/【N】マンガZERO用
【最後に】僕が使っているマンガアプリ
僕が使っているマンガアプリは、何度もスクリーンショットで登場している9つ(+1つ)だ。下段は順にアクセス頻度の高いもの、中段は週刊誌のアプリ、上段はアクセス頻度の低いもの、という形で配置している。
別の記事で、マンガアプリの比較や配信中のおすすめコミックの紹介をしようと考えているので、今回は簡単な紹介にとどめようと思う。
■下段
マンガワン
『週刊少年サンデー』の小学館が運営。
WEBコミック『裏サンデー』オリジナル作品は良作揃い。LINE マンガ
LINEが運営。オリジナル作品は乏しいが、
"1~3巻無料"となった各出版社の単行本を読むのに便利。マンガUP!
『月刊少年ガンガン』のスクエニが運営。
オリジナル作品のクオリティも高い(ラノベ系が多め)。
■中段
ヤンジャン!
『週刊ヤングジャンプ』の集英社が運営。
WEBコミック『となりのヤングジャンプ』作品は話題作が豊富。少年ジャンプ+
『週刊少年ジャンプ』の集英社が運営。本誌の定期購読に加え、
WEBコミックとして質の高いオリジナル作品も多数配信。マガポケ
『週刊少年マガジン』の講談社が運営。
マガジン系の雑誌の定期購読に加え、オリジナル作品も配信。
■上段
ピッコマ
『カカオトーク』のカカオジャパンが運営。
韓国発のオリジナル作品(WEBTOON)が多いのが特徴。
GANMA!
新人/若手によるオリジナル作品のみで構成されるアプリ。
最近は商業誌に見劣りしない作品が増えてきた印象。コミックDAYS
講談社が擁する6編集部の共同チームが運営するマンガアプリ。
複数誌をまとめた定期購読のほか、オリジナル作品も充実。コミックBANG!(現在1軍落ち)
Amaziaという企業が運営。マンガアプリとしては古参。
各出版社の作品を網羅したラインナップ(青年誌が多め)。
執筆予定の記事
>>「マンガアプリの比較とおすすめ作品」の記事(作成中)
>>「僕なりのiPhoneのホーム画面の整理方法」の記事(作成中)
ではでは。
「第23回メディア芸術祭」受賞作が発表。アート部門の大賞はどんな作品?Adam W. Brownとは何者なのか。
第23回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が、3月6日に発表された。
大賞を受賞した作品の中でも、エンタメ好きの方であれば、『海獣の子供』(アニメ部門) や『ロボ・サピエンス前史』(マンガ部門) には聞きなじみがあるだろう。しかし、そんな方の中にも
アート部門の『[ir]reverent: Miracles on Demand』って、一体どんな作品…?
こう思った方は多いのではないだろうか。
この記事では『[ir]reverent: Miracles on Demand』どんな作品かを解説していく。
- はじめに「文化庁メディア芸術祭」とは
- アート部門大賞『[ir]reverent: Miracles on Demand』とは
- 神だけが起こせるはずの「奇跡」を量産する装置
- 「血の奇跡」は、キリスト教徒の不敬を正してきた
- この作品から何を考えるか。
- 作者「Adam W. Brown」とは何者か?
- 最後に
はじめに「文化庁メディア芸術祭」とは
文化庁メディア芸術祭は、文化庁と国立新美術館が実行委員会として主催している祭典で、初回開催(1997年)から今年で通算23回目の開催となる。
毎年、応募作品の中から、アート部門・エンターテインメント部門・アニメーション部門・マンガ部門の4部門において、大賞・優秀賞・新人賞が選ばれ、受賞作品展が開催される。
▼大賞の受賞が多いジャンル
・アート部門
…インスタレーション、グラフィックアート、映像作品
・エンターテインメント部門
…ゲームや音楽、実写映画/TV番組
・アニメーション部門
…劇場アニメ・短編アニメ (過去TVアニメは大賞なし)
・マンガ部門 …マンガ
やはり、アート部門だけは対象作品を普段目にすることが少なさそうだ。だからこそ、こういった機会に興味を持っていきたいところ(自戒)。
アート部門大賞『[ir]reverent: Miracles on Demand』とは
インスタレーション(動きがある作品)なので、
画像だけでは全然わからないですよね。
まずは、概要を見ていこう。
・作品名 :[ir]reverent: Miracles on Demand
・作品形態:メディアインスタレーション、バイオアート
・作者 :Adam W. Brown
米国/ミシガンの作家 Adam W. Brown の作品とのこと。
プレスリリースによると、応募された3,566作品のうち1,916作品(約54%)が海外作品ということなので、「文化庁メディア芸術祭」は結構インターナショナルな賞のようだ。
作品名の和訳は、「敬虔な(あるいは不敬な)、お手軽な奇跡」といった感じだろうか。
神だけが起こせるはずの「奇跡」を量産する装置
作品概要には、こう書かれている。
本作は、肉眼では見えない微生物が人間の歴史と信念体系に与える影響を調べるインスタレーションである。
(中略)
何世紀も前に教会で見られたような、血を用いた「奇跡」 が生み出される。他の種と人間との絡み合いが私たちの歴史をどのように形成するかを問い、人間が特別な存在であるという価値観を揺さぶる作品。
血の奇跡、微生物と人間の関係がキーワード?
さらに概要を読み込むと、 作品は以下の構成のようだ。
1. 上部の丸い部分はインキュベーター*
* 温度などの条件を一定に保つ機器
2. インキュベーターには「PX*」と刻印された薄いパンを格納
* キリスト(ギリシャ語:ΧΡΙΣΤΟ)を象徴するモノグラム。キー(X)とロー(P)。
3. 筐体の中では「セラチア」という微生物(細菌)を培養
4. 培養液がインキュベーターに送られ、パンに滴下
5. パン上で、微生物が血液に似た赤い液体を生成する(=パンの出血)
ざっくり図解すると、こんな感じ。
目の前でパンから血が滲みだしたら…
何か感じるものがありそうですね。
宗教的なモチーフが盛り込まれているのはパンだけではなく、特徴的な形状のインキュベーターも、中世ローマカトリックの聖体顕示台にインスピレーションを受けているとのこと。
「血の奇跡」は、キリスト教徒の不敬を正してきた
キリスト教に詳しくなくとも、「銅像など(特にマリア像)が血の涙を流す」とった不吉な現象には聞き覚えがあるかもしれない。
キリスト教において、そういった「血の奇跡」はとりわけ「パン」とともに、不敬な信徒を戒めるエピソードとして語られてきた。
パンとセットなのは、「最後の晩餐」が信仰と密接な関係にあるからだ。
キリスト教の重要な祭礼である「ミサ」(ミサはカトリックでの名称)では、パンとぶどう酒が準備され、祈りを捧げたのち、キリストの体へと変化(聖変化)したパンを信者たちが食すことで、キリストと一体化する。
実際に変化していると捉えるかは教派によって異なるが、キリスト教では「最後の晩餐」になぞらえた上述の祭礼を一様に行なう。
また、彼らが食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福して後、これを裂き、弟子たちに与えて言われた。『取って食べなさい。これはわたしのからだです。』また杯を取り、感謝をささげて後、こう言って彼らにお与えになった。『みな、この杯から飲みなさい。これは、わたしの契約の血です。罪を赦すために多くの人のために流されるものです』(マタイ26:26~28)
「聖書入門.com」より
調べた限り、「パンの出血」を伴う代表的な奇跡には以下のものがある。
ひとつは「ボルセーナのミサ」だ。左の画像は盛期ルネサンスの画家・ラファエロの作品で、バチカン宮殿の「ラファエロの間」のフレスコ画である。
ここでは、1263年に聖変化の教義に疑いを持っていたボヘミアの僧侶が、ローマ近くのボルセーナでミサを行なっていた際、パンから血液が流れ出たという逸話が描かれている。
もうひとつは「聖餅の奇跡」だ。右の画像は初期ルネサンスの画家・ウッチェロの作品で、国立マルケ美術館に展示されている。
ここでは、ある女性がミサで得た聖餅(パン)を質屋で売り、そうとは知らない質屋がそのパンを食べようとしたところ、家の外に漏れ出すほどの血がパンからあふれ出した場面が描かれている。
この作品から何を考えるか。
こうした説明不可能な現象は、従来であれば神のみが成せる「奇跡」であり、だからこそ人間は、それを目に見えない神からの啓示として受け取り、自らの行動を改めてきた。つまり、こうした奇跡は現実世界に影響を与えてきたのである。
しかし、Adam W. Brownは『[ir]reverent: Miracles on Demand』で、それを"量産可能"にしてしまっている。
そう。目に見えないのは、何も神だけではない。
目に見えない微生物もまた、同じ奇跡を起こすことができるのだ。
人間は、自らを選ばれた特別な種であると考え、さらに高次元の存在(神)に奇跡によって導かれていると考えてきた。
しかし、その軌跡が、取るに足らない(と思っていた)微生物が起こしたものだったら…?
そうした事実に直面したときに、観た者がどう考えるか。その思考の発生をもって、この作品は完成するのだろう。
作者「Adam W. Brown」とは何者か?
彼の公式サイト(英文)では、以下のように紹介されている。
Adam W. Brownは国際的に認知されたコンセプチュアルアーティストであり、その作品には、生物と生体システム・ロボット工学・分子化学・新興テクノロジーを含む、芸術と科学の融合が組み込まれています。
彼の創造的研究は、さまざまな思考モデルを分解および結合し、異なる学問分野を統合するためのフレームワークを提供する哲学「インターメディア」をその背景として、新たな形の研究と創作活動を確立しています。
「http://adamwbrown.net/」より(訳・INVIVO)
公式サイトに掲載されているポートフォリオを見ると、
1939年に精神医学者ヴィルヘルム・ライヒが発見したとする生命エネルギー「オルゴン」をモチーフにした初期作品『Bion』をはじめ、生命の起源に関する最初の実験とされる「ミラーの実験」(1953年)の"続き"に挑戦した『Origins of Life: Experiment #1.x』、「賢者の石(=金属)」の生成を目指した錬金術をこれまた微生物学の観点から捉え直した『The Great Work of the Metal Lover』といった作品が並ぶ。
こうした作品群からも、歴史的なトピックと最新テクノロジーを掛け合わせることで、「私たち=生命はなぜここにいるのか。どのようにしてここにきたのか。」を観た者に考えさせることを、一貫したテーマとしていることがわかる。
そうしたテーマに興味がある方には、Adam W. Brownは深い問いを投げかけてくれる良い先生のひとりかもしれない。
最後に
筆者(INVIVO)は無宗教な人間ではあるが、Adam W. Brownの作品を知って、生命の起源の意味を再検討することや、ある種の神話を科学的な実験が置き換えることについて思考を巡らすことは興味深いと感じたし、今後も彼の作品をウォッチして、彼の繰り出す「問い」に対する(自分なりの)答えを思考したいと思った。
興味が湧いた勢いで、キリスト教の教派ごとの科学的なトピック(たとえば進化論)に対する解釈の違いなどを調べはじめてしまった。そこから派生して、果てはトランプの絵札のモデルまで検索してしまったのだから、「ひとつのことを掘り下げてみる」ということは怖いものである。
でも、掘り下げることを「やってみる」ことで、ここまで世界が広がったのだから、やはり「0より1のほうがいい」よね、と思ったのだった。
そんなところで、本ブログの第1回の記事を終えようと思う。
0より1のほうがいい。
モノやコトのまとめ・紹介ブログ「INVIVO」
今後ともよろしくお願いいたします。