2020年4月に読んだマンガまとめ(テロール教授・ぎんぎつね・ハカナキ楽園ほか)
僕はどちらかというと、マンガをよく読む方だ。
以前の記事(マンガアプリの更新日をわかりやすく。ちょっとした工夫をご紹介。)でも触れたとおり、最近はマンガアプリの無料配信で読むことも多いが、依然として月何冊かは紙の単行本も買って読む。それらの合計を月平均にすると、おそらく20冊くらいになる(年間250冊ほどになる計算)。
ということで、INVIVOの毎月の記事のひとつとして「今月読んだマンガ」を公開していきたいと思う。個人的なおすすめ度を元に、ランキング形式で簡単に紹介していく。
4月に読んだマンガは29冊だった。
1位 テロール教授の怪しい授業(2)
講談社の週刊青年漫画誌「モーニング」にて連載中の原作:カルロ・ゼン、漫画:石田点による作品『テロール教授の怪しい授業』の第2巻。
作品全体のあらすじは以下の通り。
泣く子も黙るローレンツ・ゼミには、今年もそうとは知らない学生たちが集まっている。
「あなたたちはテロリスト予備軍です。」
予想だにしない一言に愕然とする生徒たち。脱落=テロリスト認定。恐ろしすぎる授業が始まる——。
そもそもテロリズムとは何か? 日常に潜むテロの根っことは?
今までメディアで語られてきたテロ論は全部ウソ。テロ教授が教える、知るのは怖い、知らないのはもっと怖い「テロとカルト」の真実。
2017年にアニメ化もされた小説『幼女戦記』で有名なカルロ・ゼンさんが原作を務める。
ご存じない方に簡潔に紹介しておくと、『幼女戦記』は、第一次~第二次世界大戦をモチーフにした欧州のような架空の世界を舞台に、幼女に転生した現代のサラリーマンが軍人として戦いに赴く軍記小説だ(題に『幼女』と付くが、いわゆる萌え要素は皆無といっていい)。
『テロール教授の怪しい授業』では、『幼女戦記』でもそのエッセンスが十二分に感じられた、原作者の共産趣味や国産関係論・歴史への造詣がいかんなく発揮されている。
主人公(?)であるテロール教授がゼミを通して、学生たちに思考を促し、「テロとカルト」について教鞭をふるうという形式をとっているため、一見かたそうな話題もすんなりと理解できる。
「テロとカルト」をテーマにしてはいるものの、その講義内容自体は論理的思考や人間の心理的な傾向(認知バイアスなど)を扱っており、このマンガから得た知識を日常生活やビジネスに転用可能な点が一番の魅力だろう。
学生たちが「東京五輪でテロを成功させる方法をプレゼンしてください。」という課題に奮闘する姿が描かれる第2巻では、「テロリズムにおける成功とは?」という命題を通して「PR(Public Relation=公との関係性)/ 戦略的コミュニケーションに必要なもの」が語られている。
特攻隊と自爆テロの違いとは?
テロリストはどうして勝てない戦いに挑むのか?
ヒトラー・カストロ・ゲバラはどのようにして主流派の座を手にしたのか?
ドイツでは何故、タバコ会社のロビー活動が成功したのか?
上記のような内容に少しでも興味がある方は、ぜひ『テロール教授の怪しい授業』の2巻を読んでみてほしい。
『テロール教授の怪しい授業』第1話の試し読みはこちら。
こちらは、作中で触れられている書籍。
2位 ぎんぎつね(1〜14)
集英社の月刊青年漫画誌「ウルトラジャンプ」で2009年から連載中の『ぎんぎつね』(作・落合さより)。
2017年から長期休載となっており、2020年2月に連載を再開。4月17日に発売された第14巻は、実に3年ぶりの新刊となった。
作品全体のあらすじは以下の通り。
ここはとある町の小さな稲荷神社。
主人公まことは十五代目にあたる跡取りの女の子。現在の神主はお父さんですが、神さまの使いである“神使”の狐・銀太郎の姿が見えるのは、正式な跡取りのまことだけなのです。
ちょっとだけ未来が見えたり、失くしたものを探せたりする不思議な能力を持つ銀太郎ですが、やる気はないし口も悪いです。
でも、まこととは気があうのか、まあ仲良くやってるようです。そんな稲荷神社を舞台に、いろんな人たちがふれあう物語。
学生の頃に1巻は読んだ記憶がおぼろげにはあるものの、その後を読めていなかった作品。妻が全巻持っていたので、久々の新刊発売ということで既刊全巻を読破した。
作品全体に漂うほんわかとした雰囲気に心癒される反面、登場人物たちの境遇は思いのほかヘビーで、「ままならない現実の中で、ひとはどう生きるか」あるいは「ひととの関わりを経て、どう変わっていくか」といったことが丁寧に描かれている。
神社のあり方・神道の考え方を扱ってはいるものの、決して「神は存在する」ということを前提としている訳では(今のところ)なく、神の存在を疑う姿勢も肯定的に描かれているのが興味深い。
私は神職にはむく・むかないはないと思っている
だが 神職には確かに二通りいる
神を信じている者と……信じていない者(第6巻)
……どうして宮司さんは 神使も神様も視えないのに信じられるのですか?(第9巻)
木も杜も…社も…古くからある全て……何も教えないし 伝えない 俺達はただ黙って ただ見ているだけだ(第10巻)
ま ホントに神様がいるんならさ
今すぐ親父を殺してほしいね(第11巻)
神使という神聖な存在が主要なキャラクターとして登場していながらも、「神の存在を疑うこと(ひと)」に違和感が生じないバランスを作品が保っているのは、自らが存在する意味に疑問を持つ神使が登場したり、「神」自体は明確な姿で描かれない(登場しない)からかもしれない。
まぁ、そういった小難しいテーマを抜きにしても、神使とされる動物が(狐・亀・猿・兎…という風に)次々と登場するのを見るだけでも面白いし、思春期まっただ中の主人公たちの青春模様を眺めるのも楽しい。また、巻末のおまけ漫画で、神社や神道の豆知識を知ることができるのも魅力のひとつだ。
未読の方は、ぜひ一度読んでみてほしい。
等身大の聖職者を描いた作品といえば、こちらもおすすめ。
3位 ハカナキ楽園(1〜3)
新人・若手マンガ家のオリジナル作品を配信するマンガアプリ「GANMA!」にて隔週で連載中の『ハカナキ楽園』(作・たかちこり)。
GANMA!では全話無料で読むことができるほか、AmazonではKindle版が3巻まで発売されている(2020年4月現在)。
作品全体のあらすじは以下の通り。
ワイルドマン ― それは人であり人でないもの。
牧野柊が異世界で目を覚ました場所は ワイルドマンの解体現場だった。ワイルドマンの少女フィオに出会ったことで 柊の運命は変わる・・・!?
「人類の進化の残滓」とされるワイルドマンが存在する世界に迷い込んだ主人公の物語を描く。1~2位とは違い、こちらは純粋にエンタメ作品として楽しんだ。
GANMA!は結構オススメ
あと、ここでひとつ触れておきたいのは、個人的に「GANMA!は結構オススメ」ということである。
実は、サービス開始当初(2014年頃)からつい最近までは、GANMA!連載作品に対して「(新人・若手の作家陣なので)ストーリーもイラストも、他アプリのオリジナル作品ほどはクオリティが高くないなぁ…」という印象を持っていて、長いこと『リセット・ゲーム』(作・吉開かんじ)という作品を読むためだけにアプリを起動していた。
だが、昨年『リセット・ゲーム』の第1章が完結し、第2章が開幕するまでの間を繋ぐ作品を探そうと連載作品一覧を改めてチェックしたとき、その認識を改めることになった。
また別の場でも紹介しようと思うが、そこには『メメントメモリ』(作・紅ki)をはじめとして、他アプリのオリジナル作品と何ら遜色のないクオリティの作品が並んでいたのだ。
しかもGANMA!では、連載中のオリジナル作品は全話無料でいつでも読み返すことができる。2018年頃に連載を開始している上記の作品(『リセット・ゲーム』のみ2014年に連載開始)であれば、40話以上を一気読みできる計算だ。
ひとまず、上記のサムネイル画像で作品に興味を持った方は、アプリかブラウザでGANMA!を開いてみてほしい。
「GANMA!」をダウンロードするならこちら。
『メメントメモリ』をブラウザで読むならこちら。
4位 アオアシ(20)
小学館の週刊青年漫画誌「週刊スピリッツ」で連載中のサッカーマンガ『アオアシ』(作・小林有吾)は、最も新刊を楽しみにしているマンガのひとつだ。
作品全体のあらすじは以下の通り。
愛媛に暮らす中学三年生・青井葦人(あおいアシト)は、ある日、Jリーグのユースチーム監督・福田達也(ふくだたつや)と出会う。粗削りながら、無限の可能性を秘めたアシトを、福田は自チームのセレクションに誘い!?
日本のサッカーを変えることになる少年の運命は、ここから、急速に回り始める―――!!
この作品の一番の魅力はリアリティにある。もう少しかみ砕くならば「勝つロジック/成長するロジックがしっかりしている(と感じられる)点」が非常に魅力的なのだ。
部活動ではなくユースチームを舞台としている点や、主人公のポジションがFWではなくDF(サイドバック)である点なども目新しい。
最新刊である第20集では、主人公・アシトの挫折と再生が描かれる。
アシトにとっても、チームにとっても、大きな転換点を迎えただけに、今後の展開がまた楽しみになってきた。
5位 BEASTARS(18)
秋田書店の週刊少年漫画誌「週刊少年チャンピオン」で連載中の『BEASTARS』(作・板垣巴留)の第18巻。毎年つくっている「個人的ベストコミック」では2017年の1位に選んでいて、『アオアシ』同様に新刊を楽しみにしている作品のひとつ。
2018年のマンガ大賞にも選ばれ、2019年にはアニメ化もされたので、ご存じの方も多い作品だろう。
作品全体のあらすじは以下の通り。
肉食獣と草食獣が共存する世界。
そこには、希望も恋も不安もいっぱいあるんだ。
チェリートン学園の演劇部員レゴシは、狼なのにとっても繊細。そんな彼が多くの動物たちと青春していく動物群像劇が始まる!!
上記の文章だけ見ると和やかなイメージを受けるが、第11巻までの物語の核となっているのは「演劇部員の食殺(肉食獣に食べられる)事件」であり、「肉食獣と草食獣の共存」というテーマは、存外ヘビーなものとして描かれている。
どれくらいヘビーかというと、最新刊で登場した「イマジナリーキメラ」という概念(作者の父親の作品である『刃牙』シリーズを彷彿とさせる)を見て、「あ、そういえば、この作品って少年マンガだったわ」と(第18巻にして)改めて感じたほどだ。
この巻では、タイトルに込められた意味も明らかになった。今後はそこに向かって物語が加速していきそうなので、引き続き、次巻を楽しみに待ちたい。
6位以下の作品
6位以下の作品は、ささっとご紹介することにする。
6位 左ききのエレン(12)
集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+」で連載中のクリエイター群像劇。第12巻はエレン側の物語がメインとなっており、バンクシーとのゲームを通して、エレンたちの絆が描かれている。そして、次巻からはまた光一側の物語だ。
僕は持たざる者側である光一の物語が好きなので、今現在、最新話を楽しみにアプリを毎週起動している。
7位 SHIORI EXPERIENCE(12)
スクウェア・エニックスの月刊青年漫画誌「月刊ビッグガンガン」で連載中のバンドもの。僕はマンガアプリ「マンガUP!」で購読しているので、2巻遅れ(約1年遅れ)で第12巻を読了。
次巻が山場になっているので、こちらも毎週の更新が楽しみだ。
現在は14巻まで発売中。
『SHIORI EXPERIENCE』第1話の試し読みはこちら。
8位 進撃の巨人(31)
講談社の月刊少年漫画誌「別冊少年マガジン」にて連載中の、巨人と人類の戦いを描く、言わずと知れたダークファンタジー。
最新刊となる第31巻では、第2話で主人公・エレンが発した「駆逐」という言葉が異なる意味でリフレインされ、クライマックスの幕が開けた。今後も目が離せない。
9位 空挺ドラゴンズ(7〜8)
講談社の月刊青年漫画誌「good!アフタヌーン」にて連載中の「ファンタジー×グルメ」マンガ。こちらは先月の読み残しの消化枠。
10位 HANDS(1)
集英社の週刊少年漫画誌「週刊ヤングジャンプ」で連載中のSF逃避行劇。作者にとっては、これが連載デビュー作となる。
僕はWebマンガサイト「となりのヤングジャンプ」にて無料公開されていたものを読んだ。突っ込みどころは結構あるが、「目に見えないが自在に操れる手」というギミックが今後どう活用されていくのかが楽しみだ。
11位以下の作品
以下は、講談社のマンガアプリ「マガポケ」にて「週刊少年マガジン」の定期購読で読んでいる作品たち。いずれもメインで読んでいる作品ではないので、細かいコメントは省く。
五等分の花嫁(14) ※完結
ダイヤのA act2(21)
なれの果ての僕ら(1)
追いかけているコミックのうち、5月発売のものは15冊ほど。
5月はゴールデンウィークもあるので、気になるリストや積読の消化を進めたい。
ではでは。